アントキノイノチ



映画化される前から、本屋でタイトルが気になって何度か手にとっていましたが、プロの作家でもない、さだまさしさんの本を読んでもなぁと、食わず嫌いしていました。

読んでみて、びっくりしました。
お涙頂戴という安易な作りではなく、きちんと遺品整理会社にも取材を行っており、非常にリアルな作品でした。また、高校生時代、雪山、遺品整理会社で働く現在、と交互に場面を織り交ぜることで、読み手を飽きさせることなく、またばらばらだった物語が最後にすべて交錯していく様など、良い作品でした。

お勧めです。

=== あらすじ ===
21歳の杏平は、ある同級生の「悪意」をきっかけに、二度その男を殺しかけ、高校を3年で中退して以来、うまく他人とかかわることができなくなっていた。父親の口利きで、遺品整理業“CO‐OPERS”の見習い社員になった杏平の心は、亡くなった方とご遺族のため、汚れ仕事も厭わず汗を流す会社の先輩達、そして同い年の明るいゆきちゃんと過ごすことで、少しずつほぐれてゆく。けれど、ある日ゆきちゃんの壮絶な過去を知り…。生きることの重さを知るほど、生命は大切で重くなる。爽やかな涙が流れる、感動の書き下ろし長篇小説。

アントキノイノチ (幻冬舎文庫)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

孤虫症

殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)」で有名になった真梨幸子さんのデビュー作。グロイ、暗い、救いがない、でも最後まで読んでしまう、そんな作品です。

ただ、個人的にすごく気になったのは、「殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)」とこの作品は、内容は違うものの構造としては、ほぼ同じものを使用している気がします。すこしネタばれになりますが、

 ・一見、同じ軸上にあるように見える、前半と後半が実は違った軸上の話である

 

 ・ストーリーの進行に合わせて、主人公の判断能力が失われていく

 

 ・全然別のところに黒幕がいる

 

という点です。他の作品はまだ読んでいませんが、もっと違った構図、テーマの作品も読んでみたいと思います。

孤虫症 (講談社文庫)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ハサミ男

ハサミ男と言えば、ジョニーデップ主演の「シザーハンズ」を思い出しますが、本作の主人公は手がハサミになっている訳ではありません。

怜悧・大胆・精緻
新感覚ミステリの傑作

ハサミ男=美少女連続殺人鬼。死体の首には鋭く光るハサミが一丁!

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作!


少しグロイ描写もあるストーリーながら、ハラハラドキドキするということもなく、淡々とストーリーは進んでいきます。読んでいて、仕込まれているトリックはたぶんこうなんだろうなと想像はできるものの、本当のオチはまったく別のところに仕込まれていて、最後まで楽しく読むことができました。

殊能将之 という作家は全然知りませんでしたが、他に良い作品があれば読んでみようと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

六つの手掛り

前のブログにも少し書きましたが、新しい会社に転職し、通勤をバスと徒歩に切り替えたため、すっかり読書する時間が取れなくなってしまいました。そんな中、久々に本屋さんをぶらぶらしていて見つけたのが本書。大好きな乾くるみ さんの作品です。

嫉妬事件 (文春文庫)」など、ちょっとこのテーマってどうなの?と思わされる作品も中にはありますが、読んでいて、「あ、騙された!」とか「もう1回読みなおしてみよう」と思わされる作品が非常に多い作家さんだと思います。

まだ読んだことがない方は、「イニシエーション・ラブ (文春文庫) 」あたりが、最初のとっかかりとしては良いのではないかと思います。この作品は、何も考えずに読むと、単純なラブストーリーですが、良く良く読み返してみると、まったく違ったストーリーが浮かび上がってくる、1冊で2度楽しめる作品です。

さて、本書。

個人的には、乾くるみのテクニックをまさに見せつける作品に仕上がっていると思います。通常の推理小説では、犯人の動機や感情といった側面もクローズアップされますが、本書は完全にトリックにフォーカスした6つの短編推理小説です。

①六つの玉
②五つのプレゼント
③四枚のカード
④三通の手紙
⑤二枚舌の掛軸
⑥一巻の終わり

探偵役として登場する林茶父(はやしさぶ)がかなり良い味を出していて、読み応えがあります。短編集なので、細切れの時間で読むにはちょうど良い作品でした。

六つの手掛り (双葉文庫)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

迷宮

<あらすじ>
24歳のOLが、アパートで殺された。猟奇的犯行に世間は震えあがる。この殺人をめぐる犯罪記録、週刊誌報道、手記、供述調書…ひとりの記憶喪失の男が「治療」としてこれら様々な文書を読まされて行く。果たして彼は記憶を取り戻せるのだろうか。そして事件の真相は?言葉を使えば使うほど謎が深まり、闇が濃くなる―言葉は本当に真実を伝えられるのか?!名人級の技巧を駆使して大命題に挑む、スリリングな超異色ミステリー。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«大きな森の小さな密室