生物と無生物のあいだ
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生物と無生物のあいだ (講談社現代新書) 著者:福岡 伸一 |
タイトルからわかるように、完全に理系な本なのですが、ど文系の僕が読んでも興味深く最後まで読めた本でした。もちろん、内容を完全に理解できた訳ではないですが、生命とあり方と組織のあり方は、かなり共通する部分があるんじゃないかと思いました。
●秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない
人間の体は自分が食べた物でできている、と言われたら、「それは当たり前だろう」って思いますが、でも意外と自分自身はそのことを実感してなかったというのが正直なところでした。生まれてから死ぬまで、ひとつの一貫して、安定した存在である自分が存在していると感じますが、実際には体はどんどん新しい物質で作り変えられており、大げさにいうと、1年ぶりに会う人は、1年前に会ったときとは違う物質で構成されているということです。もちろん、すべての細胞が入れ替わる訳ではないでしょうが、概念的には生命というものは、絶えず物質が入れ替わっているが、全体としては一貫して存在しているように見える「動的平衡」にあるもの、ということでした。
これって、組織も同じですよね。会社としては、一貫して存在していても、その構成員は絶えず入れ替わっている訳です。生命の場合、物質が劣化するより早く、自分でその物質を新しい物に置き換えています。組織においても、硬直する前に、絶えず刺激を与え、構成員がきちんと入れ替わるほうが組織として長生きできるということになるのではないでしょうか。
●ドミナント・ネガティブ現象
面白い事例が紹介されていました。あるタンパク質を生成できないマウスを作り出しても、そのマウスは何の障害も起こさず、普通のマウスとして成長するそうです。これは、受精卵からマウスへと細胞が分化していく過程で、あるタンパク質の不足を補うように他のタンパク質なりが構成されていくことによるものだそうです。しかし、部分的に欠落したタンパク質を生成するようにされたマウスは、そのタンパク質を完全に生成できないマウスよりも、大きな影響を受けて、致命的な症状が発生するそうです。
僕自身の理解力と説明力が不足しているので、ぜひ興味がある方は本書を直接読んで頂きたいのですが、この現象は組織でも同じなんじゃないかと、個人的には感じます。たとえば、会社に必要なあるスキルを持った人材が完全に欠落していると、その会社はその欠落を埋めるために、人材を育成したり、社外から必要な人材を採用するなどの明確なアクションをすぐに起こすことになります。
その一方で、一見スキルを持っているように見えるが、そのパフォーマンスなどに問題のある人を抱えた組織は、問題に気づくのが遅れるのではないでしょうか。徐々に問題が顕在化し、気がついた時には、既に社外の信用を落としていたりするというリスクがあるように思います。では、どうしたら良いのか。これは、難しい問題ですね。問題が顕在化しない限り、該当の人材を取り除くことは難しいと思いますし。。
ということで、生命に関する本書ですが、いろいろな読み方が可能じゃないかと思います。それもこれも、おそらく筆者が物事を非常に深く理解し、誰にでも理解しやすく説明できる能力を持っているからだと思います。
ぜひ、だまされたと思って読んでみてください。
→生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
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